今年は異常な暑さでまいりますね。気温40℃とか「アラブか!」という感じです。毎日エアコンを発明した人に感謝の祈りを捧げています。
仕事柄エアコンを何十台も保有稼働させてますが、梅雨~夏にかけて高湿度が続くと水漏れを起こすエアコンが出てきます。過去の経験からエアコンが水漏れする原因の約90%はドレンパンのオーバーフローです。
夏は高温多湿で細菌が繁殖しやすく、ドレンパンにスライム塊が溜まり、これが排水口に詰まったり排水の邪魔をしてオーバーフローします。ドレンパンを水洗い洗浄すれば直りますが分解が必要で、素人には簡単に掃除できないため本来はプロのお掃除になります。
とは言え夏の繁忙期だとプロが来てくれるまでに数日かかるときもあります。バケツでぽたぽた受けているのも限界でしょうから先に応急処置的な方法を伝授させていただきます。
ちなみにこの方法はあくまでもプロを呼ぶまでの応急処置ですので、実行にあたってはご本人の責任において行ってくださいね。(これが原因で壊れたことはないですけど責任は負いかねます)
まずは簡単な予備知識から
ドレンパンとは?
エアコンの外カバーを開けるとほこり吸着用のカバーがあり、これを取るとアルミフィンがずらーっと並んでいると思います。エアコンはこのアルミフィンをキンキンに冷やして、この隙間を通った空気を冷やして湿気を取り除き、乾いた冷気だけをシロッコファンで再び室内に戻しています。
原理は冷たいコップに水滴が付着するのと同じです。このアルミフィンに吸着した水分はフィンをつたってポタポタと下に落ち、ドレンパンというお皿に溜まります。溜まった排水はエアコン背面の小さな穴から排水用ホースを通って外に排出されるわけです。この水分の受け皿をドレンパンと呼び、エアコンの下部や背部に装着されています。
昔のエアコンはドレンパンが1枚でしたが、最近のエアコンは全面と背面の2カ所に設置されており、この背面のドレンパンにスライムやホコリが溜まると排水できずにオーバーフローして吹き出し口からぽたぽたと垂れてくるわけです。
この背面ドレンパンが厄介でして、前面ドレンパンに排水を流すには側面のわずか1cm程度の凹路を通すしか方法がなく、ここにスライムなどが詰まるとオーバーフローしやすくなるわけです。
この画像のエアコンは古いのでこんな感じですが、新しいのはもっと考えて作られてると思いますが、基本構造は近いものがあります。
ドレンパンが詰まる原因は?
詰まる原因の約90%はドレンスライムと言われるゼリー状の細菌の塊です。主にタンパク質を原料としておりアルカリ性洗剤や塩素などで容易に融解します。ほこりは意外にも簡単に流れ出てしまうようです。
梅雨から初夏は高温多湿で細菌やカビが繁殖しやすい環境が整い大繁殖します。このゼリー状の物体が排水管の入り口を塞いだり、ドレンパンの途中で定着したりして排水の流れを止めてドレンパンが詰まります。
実は排水管の入り口って1cm程度しかなくてとても小さいんです。なぜココを大きくしないのか謎で仕方がありません。
その他、田舎などだとハエやGの死骸が詰まっていたりします。大きい物だとカナブンとか。ドレンパンは夏場でも常に水分があるので昆虫にとっては楽園なのです。ちなみにGなどは室外機の排水ドレンからも入ってきますのでドレンホースキャップは必ず装着した方が良いと思います。
ドレンパンの底にはスポンジ状の板が敷いてあります。これが何の目的なのか今度メーカーに問い合わせみますが、このスポンジがさらに汚れを流れにくくしてる感があり厄介者で、長期間使用しているとこのスポンジに大量のカビが付着します。
エアコンが水漏れしたときの正しい処置方法とは?
こうしたドレンパンに固着した汚れは正直言って素人では完全に取り除くことはできません。エアコン洗浄のプロに任せて専用薬剤で洗浄、そして分解洗浄してもらうのが最もキレイになります。
特に分解洗浄はエアコンの奥の方に設置されているドレンパンやアルミフィン、シロッコファン内部のカビ等も水洗い洗浄できますのでお勧めです。
やや料金が高く時間がかかりますが新品同様にキレイになりますので潔癖症の方などは1年に1回くらいはやっても良いのではないでしょうか?
水漏れの予防としてはホコリフィルターを1ヶ月に1度は掃除することと、ドレンパンに細菌が繁殖しないように少量でもいいのでこまめにアルミフィンにマジックリン等を噴霧しておけば良いのかもしれません。同じ塩素系洗剤にカビキラーなどもありますが、あちらは臭いがきついんですよね。少量でも入れておけばスライムの繁殖を防ぐことはできると思います。てかマジックリン最強。
エアコン水漏れ時の応急処置方法
用意する物リスト
- 掃除機
- パイプフィニッシュPRO(200g)
- キッチンマジックリン(1/3)
- 要らないスポンジ
- 乾いた雑巾
- 霧吹き(水用)100均で十分
アルカリ性の洗剤を使用しますのでゴム手袋、ゴーグル、マスク等をしながら肌に付着しないよう注意しましょう!
作業手順
- エアコンのコンセントは外しましょう
お掃除してるときに急に稼働したら危ないのでコンセントは外しておきます。 - 排水状態の確認
エアコン室外機にある排水ドレンの先っぽを確認してみてください。ここが塞がっていたらまずここを掃除しておきます。ちなみにココから昆虫(小G)が入り込んでくるのでお掃除終わったらドレンキャップをすることをお勧めします。 - 外カバーのほこり取り
エアコンのカバーを外して乾いたホコリを掃除機等で吸引します。エアコンカバー外部を外せるなら水洗いしてしまった方がよりキレイになります。 - 吸着フィルターのお掃除
吸着フィルターを外してさらっと水洗いしてホコリを落とした後、マジックリンを吹き付けて10分ほど放置してからスポンジ等を使ってゴシゴシこすり洗いをし、油汚れを落とします。水洗いしたら雑巾で拭いて干しておきます。 - パイプフィニッシュでスライム除去
排水の流れを良くするために排水口付近に詰まっていると思われるスライムを溶かします。排水ドレンが垂れている方のアルミフィン端っこにドロドロとパイプフィニッシュを垂らします。液だれしないように上の方から垂らすと良いです。注意すべきは、水漏れを起こしているということは既にどこかが詰まっているわけで、ドレンパンはたぷたぷの可能性があります。一気に入れると入れた分だけ溢れてきますので最初の一投は気をつけてください。髪の毛ですら溶かしてしまうパイプフィニッシュの効果は抜群です。小さな昆虫の死骸も溶かして流してくれますよ。
様子を見て溢れてこなくて、排水ドレンから上手く水が流れているようなら徐々に量を増やし、残りのアルミフィンにも垂らしてゆきます。
もしも水漏れが送風口から流れ出てくる場合は背面のドレンパンが詰まってる場合がありますので、この場合はアルミフィンの奥側にパイプフィニッシュを垂らします。
エアコンを背面から見た貴重な画像です。
- マジックリンでアルミフィンの汚れを溶かす
ドレンパンのスライムが溶けたらアルミフィンにマジックリンを噴霧してフィンにこびりついた油汚れを落としてゆきます。マジックリンは優秀で、噴霧しただけでこすらなくてもドロドロ溶けて落ちてゆきます。アルミフィンをキレイにすると冷却効果が上がります。エアコン右側等カバーがかかってる部分には電子回路などがありますので、そちらにかからないように気をつけてください。マジックリンには「バスマジックリン」とか「トイレマジックリン」など様々な種類がありますがどれも油汚れに強いキッチンマジックリンがお勧めです。
- 霧吹きで水をかけて流しておしまい
パイプフィニッシュもマジックリンもどちらもアルカリ性ですので噴霧したままにしておくとアルミフィンが腐食してしまいます。そこで水洗いで流しておきます。ペットボトルで一気に流すと溢れてきてしまいますので、霧吹きでアルミフィンの隙間に浮いてる汚れを吹き飛ばす感じでシュッシュッと噴霧してゆきます。できれば2ℓくらいは噴霧した方が良いです。
これだけ流しても水漏れしてこなければとりあえず応急処置完了です。あとはプロが到着してさらに奥の方までキレイにしてくれるのを待つばかりです。
掃除してるとシロッコファンに付着した汚れも取りたくなるかもしれませんけど、この汚れは水漏れとは無関係なので洗浄方法はまた後日別にアップします。
エアコンプロのお掃除どこがお勧め?
経験から言わせてもらうとエアコン洗浄を専門としてるFC店とかに依頼した方が良いです。研修もしっかり受けてますし、できない機種はきちんと「できません」と申し出てくれる潔さもあります。
ただFC店も始めたばかりだと機種によっては対応できないとかありますので見極めが必要です。最近は女性の方もいますので一人暮らしの女性でも安心して依頼できますよね。
以前どうしても予約が取れなくてなんちゃらマーケットみたいなマッチングで高評価を付けていたエアコンクリーニングに分解洗浄を依頼したのですが、見事に壊されてガスが抜け、メーカーの修理が来て修復するまでに約1週間エアコン無しの生活になってしまいました。
しかも修理で再分解したら掃除してない事も発覚し、結局全額返金してもらいました。他にもいい人はいるのでしょうけど、高評価しか載ってないのはもう信じませんね。二度と使いません。
エアコンって消費電力を抑えるとか静かとかいろいろ新作出ますけど、消費者の一番の望みを叶えてくれるなら、ドレンパンとシロッコファンを簡単に取り外すことができてアルミフィンも掃除できる構造にしてもらいたいですね。そしたら大人気商品になると思うんですけど?
何はともあれ、この情報が皆様のお役に立て取れば何よりです。