自然葬でトラブル?いやいやむき出しの遺骨は自然には還りません

Yahoo!ニュースを見ていたら、三重県のお寺が木の根元に粉骨していない遺骨を自然葬と称して木の根元にむき出し放置して地元住民と揉めているそうです。

そりゃ揉めるでしょうね。いくら私有地とはいえ、こんな目に留まる形で遺骨が置いてあったら遺骨とは無関係な人達から見たら「怖い」とか「気持ち悪い」といった感情を持ってしまうのはいたって普通だと思います。

遺骨が自然に還るには数百年必要です

ちなみに粉骨を生業にしております弊社から一言専門的なアドバイスをさせていただきますと、遺骨(焼骨)の成分は主にリン酸カルシウムです。カルシウムは水に溶けませんので雨が降ろうが溶けて土に還ることはありません。皆さんが溶けたと思っているのは実は細かくなって溶けたように見えているだけなのです。

焼骨(火葬された遺骨)はモロくて崩れやすいですが、ただ土の上に置いた状態では数百年程度は自然には還りません。ましてや陶器製の骨壺などに入れて密閉したら半永久的にそのままの状態を保つでしょう。

土だらけになった100年前の遺骨をお墓の下から取り出すことがありますが、意外に原型を留めてます。東北地方などでは「遺骨は土に還るから」と骨壺には入れず、布袋に入れて埋葬するのですが、数十年を経て「そろそろ土に還っただろ」と遺族が墓じまいしたらそっくりそのままの状態で出てきた!というケースは多いです。周りの布袋だけがボロボロになってます。

遺骨はどうやって分解されてゆくのか?

自分も気になって以前調べたことがあります。

遺骨の成分であるリン酸カルシウムは酸性溶液に溶ける性質があります。これは酸に含まれる水素イオンとカルシウムイオンが置き換わるからです。つまり降り注ぐ雨が酸性だった場合は分解される可能性が高まります

分解過程で放出されたリンは樹木の三大栄養素(窒素、リン、カリウム)として樹木に吸収されてゆきますので木の根元に散骨するのは半分正解ですね。(樹木が木の根元に空洞を作って小動物を誘い込むのはこの為では?)

残った大量のカルシウムはどこへ?

微細なカルシウムイオンになってしまえば他の生き物などに吸収されてゆくと思いますが、その前の段階が謎でした。

学者ではないのであくまでも仮説ですが、遺骨を取り扱っていると骨壺の中からダンボ虫やハサミムシのような甲殻類がよく出てきます。お墓にもよくいますよね?(これを見るとお墓の下に埋蔵するのためらいます)

もしかすると長い年月をかけてカルシウムを必要とする甲殻類の昆虫などに食されるなどして分解されているのではないか?と思い、昆虫好きの知人に聞いたら「可能性は高い」とのこと。

さらに友人いわく、蛇なんかも可能性あるよ?と言っており、確かに墓地の周辺に蛇の抜け殻が落ちているのもそれが理由かも知れません。

それらを加味しても人間1体分の遺骨を跡形も無く分解させるとなるとおそらく4~500年以上はかかるのではないかと。

なぜなら年齢や体格にもよりますが、人一人の遺骨(焼骨)量は平均すると約2.5kg前後ありますから。(高齢者と1.5kgくらい)

この量を分解するには相当な時間を要するでしょ?

容器の重さを引くと約2800グラム

自然に還らない樹木葬たち

映像で見る遺骨は木桶みたいのに入ってましたよね?蓋を閉めずに上手いこと酸性雨が溜まって遺骨が浸されれば分解が進むかも知れませんが、木桶にはいってる限り雨の中で半融解状態になるのではないかと?いづれ木桶が腐って割れ、その時はじめて土に触れる・・・そこから数百年後に自然に還るのかな?なんとも気の長い話です。

最近、冷やし中華並に「樹木葬始めました」みたいな看板を見かけること多くないですか?もう何百万もするお墓が売れないので霊園各社は売りやすい樹木葬にシフトし始めているんです。

それはいいとして本来の樹木葬とは自然に還るためのものなのですが、今販売されている樹木葬のおそらく90%くらいは自然に還りませんし、残りの9%は自然に還るのに数百年もかかると思われます。陶器製の骨壺のままとか、粉骨してても金属容器に入れて埋蔵してたら99%自然には還りませんからね。「いいんだよ、売れればそれで」と言われてしまえばそれで終わりですが、何かしっくりこないものがあります。

素早く自然に還したいなら海洋散骨が一番良い

そう考えると最も最適な遺骨の処分方法って海洋散骨ですね。なぜなら海は水溶液だらけですし、カルシウムを必要としている貝類や魚類が豊富ですから。分解されればあっという間にリサイクルされます。

ただ海水は基本的に弱アルカリ性ですので、大気中の二酸化炭素が増加すると酸性に変わりますから、このタイミングで分解が始まるのでしょう。

実は最近の海は浄水場が高性能過ぎてリンの流出が乏しく栄養不足に陥ってます。海にリンが不足すると海苔が黒くならないなどの影響も出ます。「えー遺骨を撒いて海苔を黒くするの~?」って思うかも知れませんけど、そんな事言ってたら畑に肥やしとか撒けません。

とはいえ、陸であれ海であれ、骨壺から取り出した遺骨をそのまま撒いてはいけません。粉骨といって一片が2mm以下になるように粉状にしてから撒くのが最低限のルールだと思いますし、粉状にした方が早く自然に還りますから。

夏の海洋散骨

今回の三重の自然葬も遺骨を原型のまま放置したから問題になっているのでしょうから、粉骨してから撒けば問題なかったのではないでしょうか?何だったら弊社に送っていただければ遺骨を乾燥させて粉骨してお返ししますのでお任せください。いつでもご依頼お待ちしております。

詳しくはこちらまで↓

まごころ粉骨HP